一院制(いちいんせい)とは、議会がただ1つの議院によって構成される制度。対義語は両院制。
近代議会制の母国であるイギリスが両院制を採用していることから、近代的な民主制議会は二院で構成されるのが当然であると考えられた時代もあったが、第二次世界大戦以後、新たな独立国は一院制を採用することが多く、また、かつて両院制だった国でも一院制へ移行するケースが増えている。
一院制を採用する国には地域的な偏りが見られ、例えば一院制を採用しているのは、西欧やアメリカ大陸ではほとんどが人口1000万以下もしくは1000万強であるのに対し、アジアや旧共産圏では、中華人民共和国をはじめとして人口に関係なく一院制を採用する傾向がある。ただし中華人民共和国においては、諮問会議である中国人民政治協商会議がかつて最高決議機関であった歴史もあり、これを第二院に類するものとみなし、全国人民代表大会と合わせて全国両会と呼ぶことも多い。
世界最古の民主的議会と言われるアイスランドの「アルシング」(930年開設)は一院制であり、そもそもイギリスの議会も元は大貴族のみによって構成された一院制の議会が長い歴史を経て、現在のような貴族院と庶民院の二院に分かれたものである。
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利点 [編集]
両院の意見が対立し、時機に応じた法律の整備が遅れるということがない。
両院の意見が一致する場合の議論の重複を省くことができ、速やかに立法が行われる。
人件費、選挙実施費用、といった経費を削減できる。
欠点 [編集]
議会内での両院相互の均衡と抑制(チェック・アンド・バランス)が働かない結果、議会が暴走する可能性がある。特に、1つの党が長期に渡り単独過半数を維持し続ける場合に危険性が大きい。
一通りの審議で法律が成立してしまうので、その時の雰囲気に流されて立法がなされる恐れがある。
投票の機会が半減するため、議会に対する民意が反映されにくくなる。
一つしかない議会が解散されて総選挙が行われる前に、議会決議が必要な事態に対応できない恐れがある。
地域代表の議院がないため、地方の意見が国に届きにくくなる。
これらに対しては、以下のような反論がなされる。
第1の点に関しては、憲法によって、議会をコントロールするための安全装置を設定することで対応する。例えば、大統領に法律の拒否権を与えるなど。
第2の点に関しては、本会議前の委員会で十分審議を尽くさせることで、事実上、両院制と同様の機能を果たすことが可能である。さらに一部の国(コスタリカなど)では重要法案に関して数度の審議を行うことでそのような欠点を回避できるとしている。
第3の点に関しては、議員の任期を短縮したり、半数改選制や国民投票制度を採用するなどで、対処可能である。
第4の点に関しては、議員の半数改選制や代替組織で対処可能である。
第5の点に関しては、議員選出方法において地方選出枠を設けたり、地方公共団体の権限を大きくして国に依存する体制を解消したりすることで、対処する。